【下肢に浮腫が起こる原因】とは?むくみの分類と解消法

手足や顔、背中が腫れぼったくなるような症状が起こる「むくみ」のことを医学的に「浮腫(ふしゅ)」といいます。

浮腫とは、体の皮下組織や臓器の組織間に水分が多量に貯留した状態で、例えばすねなどを指で押すと、その痕がしばらく戻らない症状です。

原因を取り除くこと、日常生活でできる解消法を行なうことで、むくみを軽減・解消しましょう。

スポンサードリンク



1.浮腫/むくみとは?

浮腫(ふしゅ)/むくみとは

浮腫/むくみが生じている状態は、身体に正常な時の体重の5~10%以上の水分が貯まっていると言われています。

また、身体にたまる水分が、まだ体重の5~10%に満たない場合を潜在性浮腫(せんざいせいふしゅ)といい、むくみは目では見えませんが、体重は増加してきます。

 

足のむくみの多くは、一過性のもので、ひと晩寝ると治まる程度なら、あまり心配はありません。

ひどいむくみは3~4日で体重が10kgも増えることもありますが、肥満の場合はここまで極端な体重増加はありません。

見た目で判断しにくい場合は、体重の変化も目安にしましょう。

 

むくみが出る部位

下肢

浮腫が下肢にあらわれやすいのは、心臓から遠い位置にあって血液の流れが悪くなりやすいことと、水分が重力の関係により身体の下の方へたまりやすくなるからです。

 

顔や背中

体を倒して寝て起きたときや、寝たきりの人の場合は、浮腫は背中や顔に出やすくなります。

 

内臓

一過性/一時的な浮腫ではなく、全身がむくむような重症の浮腫の場合は、足や顔だけではなく、内臓全体がむくみ、内臓の機能が低下します。

肺がむくむと呼吸困難を起こし、重篤な場合は生命にも関わります。

 

2.浮腫の種類とは?

浮腫/むくみの種類

  • 一過性の浮腫/むくみ
  • 病気が原因となる浮腫/むくみ

 

浮腫の範囲による分類

  • 全身性浮腫(全身対側性にみられ、重力の影響でとくに下腿・足背に生じる
  • 局所性浮腫(通常は左右に差がある)

 

3.一過性の浮腫/むくみの原因とは?

一過性の浮腫/むくみの原因

  1. 足の筋力低下による血行不良・冷え
  2. 長時間にわたる同じ姿勢
  3. 水分の摂りすぎ、排出できない状態
  4. 塩分・アルコールの摂りすぎ、排出できない状態
  5. 睡眠不足・疲労・ストレス・自律神経バランスの乱れ
  6. ホルモンバランスの乱れ など

 

(1)足の筋力低下による血行不良・冷え

加齢や運動不足によって足の筋力が衰えると、筋ポンプの機能が低下して血液がうまく心臓へ戻らなくなると、血液中の水分が停滞してむくみや血行不良、冷えが起こります。

 

(2)長時間にわたり同じ姿勢でいること

立ち姿勢を続けることで血液が下肢に停滞したり、ふくらはぎの筋肉の働きが少なくなることで、血液やリンパ液の流れが悪くなり、むくみやすくなります。

また、衣類の締め付けなどにより、血流が停滞することでもむくみを生じます。

 

(3)水分の摂りすぎ、排出できない状態

摂取した水分を体の外へ出すことができないと、水は体内に溜まり、冷えも招きます。

すると、腎臓が尿をつくる働きが弱くなり、さらにむくみが悪化します。

 

(4)塩分・アルコールの摂りすぎ、排出できない状態

塩分の摂り過ぎやカリウムの不足によって、体内に塩分を蓄えてしまうようになります。

飲み過ぎ・食べ過ぎによって内臓の機能が弱り消化・分解・排出しきれずに体内に溜まることでむくみや肥満、生活習慣病を招きます。

 

アルコールをたくさん飲み過ぎると血液中のアルコール濃度が高くなり、血管が拡張して静脈やリンパによる水分の処理がうまくいかなくなります。

また、アルコールは利尿作用があり、アルコール分解のために多量の水が消費されるため体が急激に水分を欲するようになります。

体の水分が不足したり、たくさんの水を摂ることで、水分バランスが乱れてむくみにつながります。

 

(5)睡眠不足・疲労・ストレス・自律神経バランスの乱れ

睡眠不足や疲れ、ストレスにより、疲労物質の増加や自律神経バランスが乱れることで、筋肉の収縮作用が弱まったり、心臓や内臓の機能が低下したりすることで、むくみや冷えを招きます。

 

(6)ホルモンバランスの乱れ

生理前や妊娠など、ホルモンバランスが乱れることで自律神経や血液の状態に影響を与えます。

むくみやにきび、吹き出物などの肌トラブル、腰痛、頭痛、便秘、胸の張りなど様々な不快症状が引き起こされます。

また、全身の代謝を維持するのに重要である甲状腺ホルモンが不足することで、身体機能の速度が低下して活動性が鈍くなり、むくみがあらわれます。

 

また、薬剤の使用(ステロイドやホルモン剤など)などでもむくみが生じることがあります。

 

4.病気が原因となる浮腫/むくみとは?

病気が原因となる浮腫/むくみ

  1. 下肢静脈瘤
  2. 深部静脈血栓症
  3. 血管の形成異常
  4. リンパ浮腫
  5. 心臓・腎臓・肝臓などの内科的疾患 など

 

(1)下肢静脈瘤

静脈には、血液の逆流を防ぐために血管内の随所に弁がついていて、この静脈弁が何らかの影響でうまく作用せずに血液が心臓に戻らなくなってしまう病気です。

静脈の逆流発生部位は、大(小)伏在静脈や副伏在静脈です。

 

種類と症状

  • 伏在静脈瘤(血管がボコボコとうねるように浮き出る)
  • 分枝静脈瘤(血管の一部がボコっと浮き出る)
  • 網目状静脈瘤(青く細い血管が網目のように浮き出る)
  • クモの巣状静脈瘤(赤く糸のように細い血管が浮き出る)
  • うっ帯性潰瘍(静脈瘤が原因で、皮膚がざらつき、かゆみや色素沈着が生じる)

 

足のだるさ、むくみ、痒み、痛み、熱を持つ、足がつる(こむら返り)、ピリピリと感じる、足の静脈が腫れる、血管が浮き出て見える、皮膚が硬くなる、皮膚の色が黒ずむ、潰瘍ができるなどの症状があらわれます。

ふくらはぎやひざ裏で多く起こり、太もも、足首まわりなど、足のあらゆる部分で起こります。

 

「陰部静脈瘤」は「分枝静脈瘤」に分類され、妊娠や出産をきっかけに卵巣の周りに静脈瘤ができ、生理が来るたびに足のだるさ、痛み、むくみがあらわれます。

改善には、骨盤ゆがみを整えることも有効です。

 

原因

  • 遺伝(親近者に下肢静脈瘤になった人がいる)
  • 長時間立ち続ける事が多い
  • 運度不足
  • 加齢
  • 妊娠・出産を何度か経験している
  • 肥満気味

 

改善方法

  • 特殊な編み方でつくられた医療用弾性ストッキングを使用する
  • 運動(歩く、太もも上げ、かかとの上げ下げ)
  • 足指を動かす
  • 寝ているときや座っているときは、足枕や足置き(オットマン)を使い、足先の位置を高くする
  • 深呼吸をする
  • バランスのよい食事(塩分・糖分・脂質を控える)
  • 朝起きたとき、こまめに水分補給をする
  • 水虫の予防・治療をする
  • 歯周病の予防・治療をする

 

放っておいても自然に治ることはありません。

すぐに命に関わるような病気ではありませんが、歩くことなどが不快になることで外出が減り、心の健康を損ねる原因にもなるため、早めに治療を行ないます。

 

(2)深部静脈血栓症

骨盤の中の太い静脈や深部静脈などに血栓ができた場合、足に急激に血液が溜まってしまう病気です。

飛行機などで、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられることで、足の血液の流れが悪くなると、「深部静脈血栓症」でできた血栓が、歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を閉塞することで「肺血栓塞栓症」を引き起こし、「静脈血栓塞栓症/エコノミー症候群/ロングフライト血栓症/旅行者血栓症」を発症し、動悸、呼吸困難が起きて命にも関わります。

健康だった人が突然死を起こす病気の一つであるこの疾患は、エコノミークラスのみで起こるわけではないため、ロングフライト血栓症や、旅行者血栓症とも呼ばれています。

 

症状

足がパンパンに腫れて、強い痛み、しびれを伴います。

血栓ができた片足だけ症状が出るのが特徴ですが、両足に血栓ができた場合は両足がむくみます。

 

原因

  • 車や飛行機などで、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられたり、続けること

スポンサードリンク



(3)血管の形成異常

確率としては低いですが、出生前からの形成異常の場合があり、自然に治ることはありません。

血流の遅い、「毛細血管奇形」、「静脈奇形」、「リンパ管奇形」と、血流の速い「動静脈奇形」に分けられています。

生まれつきの病気で、外傷、感染、ホルモンバランスの変動など成長によって症状が強くでるようになります。

 

(4)リンパ浮腫

本来リンパ液として運ばれるはずの体液が組織内に残ってしまうことによるむくみをリンパ浮腫といいます。

自然治癒はしないため、治療せずに放置しているとゆっくりと進行していき、症状は悪化します。

 

症状

浮腫が全身にあらわれますが、約7割が重力の影響を受けやすい足に起こるとされています。

パンパンにむくんでいる部分に、だるさ、重さ、疲れ、皮膚が乾燥して硬くなる症状があらわれます。

 

原因

  • 先天的にリンパ管の発育が悪い
  • ガンの手術を経験したことがある
  • 慢性的な水虫から雑菌が入り込むこと など

 

(5)心臓・腎臓・肝臓などの内科的疾患

足だけでなく、全身にむくみが見られるときは、内科的疾患の可能性があります。

むくみに特化した治療ではなく、原因となる疾患を治療することで、足のむくみやだるさの改善につながります。

 

症状

足や全身のむくみ、だるさ、強い痛みなどの症状が出ます。

すねを指で強く押したとき、病的ではないむくみやリンパ浮腫と比べて、へこみが元に戻るのに時間がかかるという特徴があります。

貧血、甲状腺疾患、腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、心不全、肝硬変、リウマチ、膠原病、アレルギー、悪性腫瘍など、疑うべき症状はさまざまです。

 

原因

  • 心臓、腎臓、肝臓などの機能低下
  • 高血糖状態や糖尿病による内臓機能の低下
  • 胃下垂などにより、そけい部での血流や神経が圧迫されること など

 

5.一過性/一時的なむくみの解消法とは?

食事やマッサージ、入浴などによってむくみを軽減することができますが、筋力低下を防ぐことで長期的なむくみの解消につながります。

 

リンパの流れを良くするだけでは、ほとんどのむくみは治りません。

リンパ管は、表在にあって静脈と連動していますが、リンパ液の流れが悪く管内に空きができないと、新たな水分は吸収できないため、「リンパ管の巡り」もよくしておく必要があります。

そのためには、筋ポンプをしっかり動かすことが大切です。

 

運動

加齢や運動不足による筋力低下を防いだり、基礎代謝を高めたりすることで、静脈や筋ポンプの働きを高めることができるため、運動習慣を身につけ、筋力や筋肉量を増やすことが重要です。

 

太もも上げ運動や屈伸、かかとの上げ下げ運動、座ってできるひざ裏たたき運動などがおすすめです。

また、肥満により、心臓への負担が大きくなることはむくみの原因にもなるため、ダイエットの3つの基本である①摂取カロリーのコントロール、②有酸素運動、③筋トレを行ない、肥満を予防・解消しましょう。

 

ストレッチ

ストレッチは、血液循環を促す効果やリラックス効果があります。

 

マッサージ

入浴中や入浴後、就寝前にマッサージを行なうことで、血液やリンパの流れを促します。

なでる、さする、叩く、揺らす、押すなどさまざまなマッサージ法を使い、足の疲労を解消しましょう。

 

寝る前に仰向けになり、手足を天井に向けて上げ揺らすことで、末端の血液やリンパ液を流すようにします。

 

挙上(きょじょう)

長時間同じ姿勢を続けるなど、重力によって体液の循環が悪くなるため、流れを助けるようにときどき動くことが大切です。

 

《腕》

  • ときどき手や腕を心臓より高く上げ、ブラブラと振る など

 

《脚》

  • 座るときは正座をさけ、脚を伸ばしたり、屈伸などでときどき動かす
  • 椅子に座るときは、足先を膝と同じ高さにする など

 

入浴・足浴

入浴や足浴は、冷えや血行不良を改善したり、ストレス解消に役立ちます。

リラックス効果のある香りのアロマなども利用して、38℃〜41℃の湯温で15分程度を目安に入浴すると、血行促進に有効です。

 

食事

塩分の摂りすぎになるため、外食や加工食品には注意します。

利尿作用のある食品(すいか、きゅうり、冬瓜など)、カリウムを多く含む食品(バナナ、りんご、昆布など)、ビタミンB1を多く含む食品(豚肉、豆腐、あずき、かぼちゃなど)を食べたり、栄養バランスのよい食事を摂ります。

 

朝起きたら口をゆすぎ、コップ1杯の冷たい水を飲むことで、体内時計が整えられ、自律神経バランスを整えたり、血液の状態を良くしたりする効果があります。

朝に水分や食事を摂ることで、便によって老廃物が排出されるため、腸内環境が良くなるとキレイな血液が作られ、血流もよくなります。

 

また、腸は「第2の脳」と呼ばれ、腸内環境を整えることで自律神経バランスの乱れを防ぎます。

老廃物は、尿・便によって体から排出されるため、水分をこまめにとることで、スムーズな排出を助けます。

 

野菜などの食物繊維を多く、バランスの良い食事をすることによって、便の排出が促されます。

食物から栄養素を吸収し、余分なカスなどをしっかりと体から排出することはとても重要です。

野菜ジュース(水分)だけでは、便を排出するための容量がないため、しっかりと野菜から食物繊維を摂りましょう。

 

生活リズム

規則正しい時間の就寝や起床、食事などにより、自律神経バランスが整い、ホルモンバランスも整えられます。

朝に強い光を浴びたり、日中に体を動かすことも大切です。

 

6.まとめ

浮腫/むくみの原因は、一過性のものと、病気が原因のものに分けられ、下肢にあらわれやすいのは重力によって水分が下に貯まるためです。

さまざまな要因が重なることもあるため、原因を取り除き、休息、運動などを行なって水分の排出や血行促進、冷えの改善をします。

 

むくみから重大な病気が発見されることもあるため、急にひどくなったり痛みが伴う場合は早めに受診しましょう。

 

↓こちらの記事もご覧ください

[血行促進に効果的な【お風呂の入り方】とは?自律神経を整える入浴と生活]

スポンサードリンク



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です