【下肢の測定部位の目安】とは?リンパ浮腫の複合的理学療法4つの基本

浮腫の程度を評価するもっとも簡単な方法は、患肢の「周囲径計測」です。

リンパ浮腫は、自覚がないうちに悪化することが多いため、下肢や腕を計測することで早期発見・早期対処につながります。

計測して、むくみが大きくなっているときは医療機関を受診しましょう。

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1.上肢と下肢の計測位置と方法とは?

下肢の計測部位の目安

  1. 脚のつけ根
  2. 膝蓋骨(ひざの皿状の骨)の上縁から10cm上
  3. ふくらはぎの最大部
  4. 足首
  5. 足背(足の甲から足裏の1周)

 

上肢の計測部位の目安

  1. 腕のつけ根
  2. 上腕最大部(ひじを曲げた内側の線から10cm上)
  3. 前腕最大部(ひじを曲げた内側の線から5cm下)
  4. 手首
  5. 手のひら(手の甲から手のひらの1周)

 

計測する方法

位置

計測する部位が、計測のたびにわずかでもずれることで1〜2cmの違いが出てしまいます。

体型は人それぞれ違うため、測る位置がいつも同じになるように決めておきます。

 

時間

1日のうちでもむくみの程度が異なるため、計測する時間を決めておくようにします。

 

皮膚などの症状

はじめは左右の腕や脚の計測をして、むくみのない腕・脚の太さを記録しておきます。

皮膚のシワや色、四肢の動きや痛みなども観察して記録します。

 

測りにくい部位は写真に撮っておくなど、継続しやすい方法を選びましょう。

 

2.複合的理学療法の4つの基本とは?

複合的理学療法とは

現在、リンパ浮腫に対して日本で行われている治療は大きく分けると2つあり、「保存的治療(患肢に傷をつけない)」と「外科的治療(手術)」があります。

保存的治療には、リンパ浮腫に対するもっとも基本的な治療法である複合的理学療法や、その他に温熱、振動、磁気、低周波、低出力レーザーなどの物理療法などがあります。

 

保存的治療の中心である複合的理学療法の4つの基本

  1. スキンケア
  2. リンパドレナージ
  3. 圧迫療法
  4. 圧迫したうえでの運動療法

 

①スキンケア

リンパ浮腫などでむくみの出た手足は、細菌に感染しやすく、ケガも治りにくい状態です。

 

転倒の予防や、先の尖った道具を使わないなど、ケガを予防することが大切です。

乾燥し、ひび割れが起こりやすいため、刺激の少ないノンアルコールのクリームで保湿をします。

皮膚が硬くなってひび割れしている場合は、尿素系(ケラチナミン・ウレパールなど)の軟膏により皮膚を柔らかくすることも大切です。

 

②リンパドレナージ

手のひら全体を皮膚に当て、皮膚をずらすように動かします。

むくみのある部位だけでなく、全身のリンパをマッサージによって流して排出することでむくみを改善します。

 

③圧迫療法

圧迫することで、「重力の影響を軽くする」、「毛細血管からの漏れ出しを防ぐ」、「リンパ管の弁機能が改善される」、「筋肉ポンプが効果的に活用される」などの効果があります。

包帯や着衣での圧迫方法があり、それぞれのむくみの状態などに合わせたサイズ、形、圧迫力で行なうとことが重要です。

 

④圧迫したうえでの運動療法

皮膚表面から皮下組織を十分に圧迫したうえで筋肉運動を行なうと、治療効果がさらに上がります。

患肢の安静と挙上、深呼吸をする、足首や手首の関節を動かす、膝を曲げ伸ばす、手でボールを握りしめる、肩を上げ下げするなど、筋肉や関節をゆっくりと動かすようにします。

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3.セルフケアの基本とは?

心の負担を減らす

負担にならない程度でセルフケアを行なうことが大切で、「〜をしなければならない」と、強迫観念を持たずに継続できる方法を行ないます。

 

皮膚への負担を減らす

蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの炎症を起こしたときには、ドレナージや圧迫を行なうとかえって浮腫が悪化することがあります。

患肢に赤い斑点状の発疹ができたり、赤みが出て熱感をもってきたようなときは、圧迫やリンパドレナージをいったん中断し、炎症の治療を優先させることが重要です。

専門医から、リンパドレナージの力加減や弾性包帯の圧迫力、弾性着衣のサイズ・形・圧迫力など、適切にセルフケアができるように指導を受けましょう。

 

鍼やお灸での治療は、皮膚を傷つけて感染の可能性が高まるため、リンパ漏の原因にもなります。

むくんだ部位に直接行なう鍼灸の治療は控えましょう。

 

筋肉へ過度な負担を与えない

運動をすることで、リンパ液が循環しむくみを軽減することができます。

しかし、むくみのあるときの運動にはそれなりの注意が必要です。

 

過度な運動は筋肉の炎症を起こし、リンパが多くつくられたり、血液が静脈にうっ滞し、血管外に漏れ出した大量の水分が血管内に戻れなくなり、むくみが悪化します。

中度・強度以上の運動をするのは逆効果で、疲れない程度に軽くリズミカルに動かします。

 

疲労を感じない程度に、ストレスを発散できる運動をすることで浮腫の予防・改善につながります。

特に下肢のリンパ浮腫の場合、30分程度のゆっくりとしたウォーキングやかかとの上げ下げ、水中ウォーキング、水泳がおすすめです。

 

水中では水圧によって全身が圧迫され、リンパを足先から心臓へ向けて絞り上げるような流れがつくられます。

弾性着衣はいったんはずし、水着は締めつけすぎるものは避けます。

柔らかい素材で、ショートパンツ型など鼠径部を締め付けないタイプを選びましょう。

 

プールには消毒用の塩素が入っているため、長時間の利用は避け、プールのあとはシャワーで全身を洗い流し、しっかりとスキンケアを行ないます。

患部に炎症や異常、傷があるときは雑菌も入りやすいため、プールは控えます。

 

また、入浴によっても水圧がかかるため、腕や脚を動かしたり鼠径部やわきの下をマッサージしたりすることが有効です。

 

4.日常生活での注意点とは?

リンパ浮腫による生活の質の低下と悪循環

リンパ浮腫が一度発症すると、完全に元のようには戻らないといわれています。

精神的に落ち込むことで、むくみが身体に影響し、悪循環になることもあります。

 

リンパ浮腫が発症すると、字が書きにくい、箸が持ちにくい、歩きにくい、靴が合わない、合う服が探せない、などQOL(生活の質)が低下してしまいます。

重症化すると、気力がなくなり、うつ状態になる可能性もあります。

 

しかし、適切な治療と、日常生活での行動によって改善が可能です。

 

日常生活での注意点

  • 深呼吸をする
  • 就寝時に上肢や下肢を少し高くして、その日のうちに少しでも手足のうっ滞を改善する
  • 長時間同じ姿勢を続けるときは、十分圧迫した上で、少しでも筋肉を動かすようにする
  • 鼠径部が圧迫されるため、下肢を高く上げすぎることはしない
  • 腰椎に変形が起こり、腰痛の原因となるため、患肢だけでなく両足を高くする
  • 肉体的・精神的な過労やストレスを避ける
  • 疲労の蓄積を防ぐ・休息をとる
  • 常に患部の清潔と保湿を保つ
  • 水虫や外傷を防ぐ
  • 肥満を予防・改善する/適正体重を維持する
  • 塩分の過剰摂取を控える
  • 規則正しい生活リズムをつくる
  • 自分の経験から浮腫の悪化のきっかけとなったこと(温泉、水泳など)は繰り返さない
  • 弾性着衣は圧が弱く感じたら定期的に新しいものに替える

 

全てを完璧に行なうことは無理だと考え、できることを徐々に増やしたり、メニューを変えて気持ちを切り替えたりして継続を心がけましょう。

 

5.まとめ

リンパ浮腫とは、体の老廃物を運ぶ「リンパ管」の働きが、手術などによって悪くなることで、皮膚組織のある部分に体液がたまってむくみが起こります。

珍しい病気でも怖い病気でもなく、日頃の注意と適切な予防でそれ以上はむくまず、徐々に細くなっていきます。

 

長時間の同じ姿勢や心身のストレスなどによって発症することが多いため、体や心がつらいと感じたときにはしっかりと休息をとったり、リフレッシュ、リラックスすることが大切です。

 

下肢の測定部位の目安は、①脚のつけ根、②膝蓋骨の上縁から10cm上、③ふくらはぎの最大部、④足首、⑤足の甲から足裏の1周です。

上肢の測定部位の目安は、①腕のつけ根、②上腕最大部、③前腕最大部、④手首、⑤手の甲から手のひらの1周です。

 

挙上(腕や脚を上にあげること)、深呼吸、スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫したうえでの運動療法を行ないます。

専門医に適切な方法や間違った方法を指導してもらい、できることを少しずつ続けましょう。

 

↓こちらの記事もご覧ください

[【むくんだ下肢から水が漏れる原因】とは?リンパ浮腫の合併症と予防法]

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