血行促進に効果的な漢方は薬として飲んだり、入浴剤として利用することができます。
自然からつくられた成分ですが、副作用やアレルギーもあります。
養生生活により、漢方の効果を高める生活習慣も積極的に行ないましょう。
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1.血行促進に効果的な漢方とは?

効果のある生薬
血液への働きがある生薬は、ジオウ(地黄)・シャクヤク(芍薬)・センキュウ(川芎)・トウキ(当帰)・トウニン(桃仁)・ボタンピ(牡丹皮)などがあります。
利尿の働きがある生薬は、インチンコウ(茵蔯蒿)・オウギ(黄耆)・シャゼンシ(車前子)・ソウジュツ(蒼朮)・タクシャ(沢瀉)・チョレイ(猪苓)・ビャクジュツ(白朮)・ブクリョウ(茯苓)・ボウイ(防已)などがあります。
血行不良や貧血の改善、利尿作用のある生薬が入った漢方を飲むことで、血行を促進する働きをします。
冷えやむくみの症状に処方される主な漢方薬
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
- 五苓散(ごれいさん)
- 茵陳五苓散(いんちんごれいさん)
- 猪苓湯(ちょれいとう)
- 柴苓湯(さいれいとう)
- 木防已湯(もくぼういとう)
- 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
漢方は、『証』という考え方により、症状や体質によって処方される漢方薬がそれぞれ変わり、血行不良以外の症状を併せ持っている場合には、上記の漢方薬以外の薬が処方される場合があります。
自分に合った漢方診断をしっかりと行なってくれる医師を探すことも重要です。
漢方薬の飲み方
- 1日3回
基本:食前・食間に飲む
- 食前 (食事の30分前)
- 食間 (食事の2時間後)
飲み忘れた場合:食後に飲む
- 食後 (思い出したらその時に)
空腹時に漢方薬を飲むことが効果的ですが、食前・食間に飲むことを忘れてしまったり胃に負担を感じやすい人は、食後に飲むようにします。
顆粒状や粉末状になっているエキス剤はインスタントコーヒーのようにお湯に溶かしてから飲むことが理想的ですが、味や香りが苦手な場合はオブラートに包んだ漢方薬を口に含んで、白湯を少し多めにのむ方法でも良いです。
このように漢方薬には基本の飲み方がありますが、続けて服用することが大切なので飲み忘れのないように工夫しましょう。
2.漢方とは?
漢方とは
漢方は中国から伝来し、日本で『漢方医学』として独自の発展を遂げて、現代では漢方薬も健康保健が適用できるようになっています。
漢方薬の原料は自然にあるもので、植物由来のもの(根・茎・葉・皮・花・実・種子など)、菌類由来のもの、動物由来のもの(皮・骨・角・甲羅・貝殻・昆虫などで化石や鹿の角、亀の甲羅など)、鉱物由来のもの(水晶、紫水晶など)からできています。
薬効がある利用部分乾燥させたり、加工したりしたものを『生薬』と呼び、いくつかの生薬を組み合わせて、名称をつけたものを『漢方薬』といいます。
生薬の薬効成分は、約2000年も前から歳月をかけてたくさんの人々が試行錯誤を行い有効なデータを蓄積してきた結果です。
そのおかげで薬効と安全性をあわせもった今の漢方があるのです。
西洋薬と漢方薬の違い
『西洋薬』は、科学的に合成されたものや有効成分のみを抽出したものでできており、『西洋医学』は、病気の原因や仕組みを究明して、特定の標的に作用するように治療を行ないます。
『漢方薬』は、天然の素材からつくられており、『漢方医学』は『心身一如』(しんしんいちにょ)という考え方によって心と体を一つとして捉え、体質そのものを改善しバランスを調整することで自然治癒力を高める治療法です。
漢方の副作用やアレルギー
人それぞれの体質や体調によって、アレルギーや、むくみ、胃もたれ、軽い発疹のような副作用がでることもあります。
また、漢方には『瞑眩』(めんげん)という考え方があります。
漢方薬の服用をはじめてから約1週間以内に下痢や嘔吐、めまい、吐き気、発疹、食欲不振などの一時的な『悪化症状』(好転反応)が現われ、その後は急速に快方へと向かいます。
そのため、漢方薬の効果を得るには『2週間』は服用を続け、自分の症状の変化を観察することが重要です。
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3.西洋医学による症状の位置づけ『証』とは?
証とは
西洋医学には正常な健康状態からどれくらい“ずれているか”を診断する『証』(しょう)という考え方があります。
望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)をおこない、患者さんの体格や体質、体力、心理の状態が『陰・陽』『虚・実』のどの位置にあるかを見定めて治療を行ないます。
そのため、医師や薬剤師に自分に合う漢方薬を選んでもらうには、自らの体の調子や症状に加えて心の状態を知り、伝えることが大切です。
ドラッグストアなどで販売している漢方薬は、医師に処方されるものよりも有効成分量が少なかったり、多くの人に合うように作られているのですが、病院に行くよりも手軽に購入できることがメリットです。
妊娠中にはつわりを軽減する漢方もありますが、服用できない薬もあるので注意します。
飲み合わせ、食べ合わせなどの注意点も聞き、服用するようにしましょう。
陰陽(いんよう):体質・病気の進行を診る
陽証タイプ
- 脈が早い
- 暑がり
- 顔が赤い
- 高血圧
- 発汗多め
- 口渇
- 便秘…など
陰証タイプ
- 脈が遅い
- 寒がり
- 手足が冷える
- 低血圧
- 発汗が少ない
- 顔色が青白い
- 下痢ぎみ…など
虚実(きょじつ):体力・抵抗力を診る
実証
- 声が大きい
- 血行が良い
- 筋肉質
- 食欲旺盛
- 疲れにくい
虚証
- 声が小さい
- 顔色が悪い
- 痩せ型・水太り
- 寒がり・低血圧
- 肌がカサカサ
- 疲れやすい
『実証』タイプの方は健康に思えますが、虚・実ではどちらか一方の傾向に偏ることなくバランスのとれた『中間証』タイプが理想的とされています。
気・血・水:不調の原因を診る
西洋医学では、人間の体は「気・血・水」の3要素が十分に満ちて、さらに体内をスムーズに巡ることによって、健康が維持されていると考えられており、不足したり、滞ったり、偏ったりすると、不調や病気、障害が起こりやすいとされています。
気(き)
- 目には見えない生命エネルギーのこと
血(けつ)
- 主に血液を指し、全身を巡り、さまざまな組織に栄養を与えるもの
水(すい)
- 体液や分泌液、尿など血液以外の体液全般を指し、潤いや栄養を与える、無色の液体のことで、水分代謝や免疫システムなどに関係している
漢方薬の効果を高める方法
漢方薬はおだやかに効くというのが特徴ですが、効果を高めるために『養生(ようじょう)』が必要です。
規則正しい生活、食生活の見直し、腹八分目、体を冷やさない、運動をして血行を促進するなどを併せて行なうことで体内が活性化して効果も一段と高まります。
その処方にあった具体的な養生法(ようじょうほう)は医師やお買い求めの薬局・薬店にご相談ください。
4.血行促進に効果的な漢方入浴剤とは?
入浴剤に使われる生薬
- センキュウ(川芎)
- トウキ(当帰)
- チンピ(陳皮)
- ガイヨウ(よもぎ)
- トウヒ(橙皮)
- コウカ(紅花)
- ショウキョウ(生姜)
- サンシシ(山梔子)
- コウカ(紅花)
- オウバク(黄柏)
- ショウブコン(菖蒲根)
- ウイキョウ(茴香)
- オウゴン(黄芩)
- バンショウ(蕃椒)
- ハッカ
- ドクダミ
- カンゾウ
- カミツレ…など
入浴剤には、不調を正常に整える有効成分、洗浄成分、保湿成分、肌を整える成分などが、1種類のみや複数が組み合わされて販売されています。
血行促進や鎮痛などの不調の目的に合わせた『有効成分』とともに、乾燥肌の場合は『保湿成分』が入ったものを選ぶなど、自分に合った入浴剤を選びましょう。
入浴は温熱作用や水圧作用により、さら湯でも血行促進効果が高まります。
漢方(生薬)や天然鉱石、岩塩など、『自然からつくられた成分』を『入浴』と組み合わせることで、安心してリラックス効果や疲労回復効果を得ることができます。
5.まとめ
東洋医学には『証』や『気・血・水』などの考え方があり、とても奥深い世界です。
血行促進には、血液、利尿、冷え、胃腸を整える生薬を用いた漢方を飲むことが効果的です。
効果を高めて実感するためには、規則正しい生活や食事内容、腹八分目、運動などで自然治癒力を高める生活習慣によって『養生』を行ないましょう。
顔色や皮膚、体質、排泄物や心の状態などを知ること、そして伝えることで自分に合った漢方を選び出し、不調を改善することができます。
副作用やアレルギーが出ることもあるので、医師や薬剤師に必ず相談するようにしましょう。
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